自宅長屋門(ながやもん)で、
建築設計事務所を営んでいる
一級建築士
古民家建築の専門家 與那原浩です。




私が住んでいる妻の実家、今回は、太宰家
の【玄関・土間】を紹介します。




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式台(しきだい)は、元は下駄箱兼用のもの
がありましたが、シロアリの被害を受け朽ち
ていたので、10年前のリフォームの際に
新しく造り変えました。
現在の式台の框(かまち)は、地松の梁材
(りょうざい)
を転用しています。


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時計を掛けている柱が大黒柱です。
杉の8寸角(240㎜)で大黒柱(だいこく
ばしら)
としては標準的な大きさになります。




太宰家の柱は、そのほとんどが杉材が使わ
れています。「なぜ桧を使わなかったのか」
の答えはまだ思案中です。




大黒柱に掛っている古い時計は、義母が
嫁いできた頃にはすでに掛っていたという
から、すでに50年以上昔のものです。
毎日ねじを巻くと、ちゃんと動いて、
ボンボーンと時報を鳴らしてくれています。


 
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板の間の材は松材が使われています。
200年以上経っても艶があります。
1800年代の昔から、どれだけの人が
この板を踏んでいるのでしょうか。




暗い玄関の中で、光線の当たり具合に
よって、この板が鏡の様に光ることが
あります。
まさしく鏡板です。



鏡のように輝くまで、
想像するより、
ずっと多くの人々がこの板の上を通って、
座敷にあがっていたのでしょう・・・
玄関や土間で、昔どんなことが行われて
きたのでしょうか。




村の祭りごとや屋根の葺き替えの際には、
大勢の人々が集まってきたということです。




多い時には、何百人もの人々が、土間奥
の釜で煮炊きした食事を食べて、賑やか
に酒をくみかわしてきたのでしょうか。




今は静かな玄関ですが、目をつぶると、
その時の喧騒が浮かんでくるようです。




家を大切に200年以上住み継いできた
太宰家の人々の思いが、来客を迎えて
いるように感じました。




今日も最後まで読んで頂きありがとう
ございました。

 



【建築ワード説明】


式台(しきだい)
玄関の土間と床の段差が大きい場合に設置
される板のこと。


框(かまち)
玄関など家の上がり口の縁に渡した横木の
こと。
 

梁材(りょうざい)
建物の水平短径方向に架けられ、床や屋根
などの荷重を柱に伝える材のこと。


大黒柱(だいこくばしら)
家の中央にある特別に太い柱