自宅長屋門(ながやもん)で、
建築設計事務所を営んでいる一級建築士
古民家建築の専門家 與那原浩です。





私が住んでいる妻の実家、今回は、太宰家
の離れ玄関【車寄せ】(くるまよせ)の紹介
です。




20091027kurumayose




太宰家は、下図のように主屋と離れ・
長屋門(ながやもん)で構成されています。



kurumayose
―犬伏武彦著 【民家ロマンチック街道―伊予路】引用―



では、車寄せとはどういう場所を言うので
しょうか。




自動車の乗り降りのために、玄関前に
設けた屋根つきの部分で、昔、 牛車を寄せ
て乗り降りできるように、建物の出入り口に
庇(ひさし)などを張り出して造った建物
部位のことです。



一般的に車寄せのある玄関は格式が高いと
され、現在では旅館・ホテル・官公庁・病院
など、人の出入りが多い施設の入口などに
使われています。




現在の離れは、8代目当主 太宰孫九が、
昭和初期に建てたものと言われています。
孫九は、実業家として、多くの企業の経営を
しながら、衆議院議員として、政界にも進出
していました。




そのため、松山にある別邸と自宅を行来する
生活をしていましたが、自宅にも、事業や
政治の話をするための離れを造ったと言われ
ています。



20091027kurumayose2




車寄せではありますが、格式を重んじ、
天井も格縁天井(ごうぶちてんじょう
なっています。動画でも視聴できますの
で、興味のある方はご覧下さい。










20091027kurumayose3




この天井の格縁(ごうぶち)は、昭和初期
の建築では珍しい銀杏面(銀杏の葉の
形のようにRにシャクられた面)です。
格縁にて格子を作り、その格間(ごうま)
に正方形の板を張ったものです。




格縁と格縁の仕口(しぐち)は、90年近く
たった現在でも、一分の隙もありません。




離れの玄関とはいえ、施主である孫九の
こだわりを感じます。よほど、この離れ
の建築には、熱い思いがあったものと
思われます。離れの部屋にも、随所に
こだわりの箇所がありますが、それはまた
後日説明いたします。




太宰家の離れは、施主のこだわりを受け、
木を知り尽くした職人の技が見事に活か
されています。




施主と造り手の思いがぴったり合致した
家は雰囲気もよく、居心地がいいものです。
私の造る建築もそうあらねばと、この家を
見るにつけ、身の引き締まる思いでいます。




今日も最後まで読んで頂き、ありがとう
ございました。




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【建築ワード説明】
 

庇(ひさし)
外壁に取り付けられた片流れの屋根状の
突出部のこと。玄関扉の上部などに付ける
ことが多い。



仕口 (しぐち)
木材の加工において、2つの材料が取り
合う時、直角につなぐ加工方法の総称。


格縁(ごうぶち)
升目(グリッド)を作っている部材のこと。


格縁天井(ごうぶちてんじょう)
45~90センチ程度の升目に組まれた
デザインの天井のこと。