自宅長屋門(ながやもん)で、
建築設計事務所を営んでいる一級建築士
古民家建築の専門家 與那原浩です。




私が住んでいる妻の実家、今回は、太宰家
の西側の蔵【庇(ひさし)】を紹介します。




庇(ひさし)とは、家屋の開口部
(かいこうぶ)(窓・出入り口)の上に取り
付けられている日よけや雨除けようの
小さめの屋根のことをいいます。



西側の蔵の庇は、瓦ぶきです。



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鬼瓦西の蔵
―犬伏武彦著 【民家ロマンチック街道―伊予路】引用―




庇と言えば・・・
『庇を貸して母屋を取られる』という諺が
思い出されます。
家の一部を貸したばっかりに、しまいには
すべてを奪い取られるという意味で、恩を
仇で返されることの例えに使われます。
庇には守る・擁護するという意味があります。




庇があるおかげで、雨が降った時でも濡れ
ずに出入りができ、また壁の劣化も防ぐこと
が出来ます。




この蔵の壁の漆喰(しっくい)は、長い年月
が経っても、美しい乳白色を保っています。




現代風の家は、庇がない造りが多いよう
ですが、雨が多い地域では、北側や日差
しが当たらない外壁に緑色の藻やカビが
生えてしまうことがあります。




そうなると、外壁の劣化も進み、美観的に
も美しくありません。庇のあるおかげで、
長い年月が経った古民家でも壁が美しく
丈夫に保てるのです。




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瓦屋根と漆喰塗の壁との取り合い部分は、
のし瓦(のしがわら)
で納められています。




のし瓦の端は、漆喰を雲型(くもがた)
造って納めています。伝統工法の造作
(ぞうさく)は
日本の伝統的な文様として、
雲型や唐草(からくさ)が多く用いられて
います。




基本の雛型(ひながた)はあるのでしょう
が、職人が自分の技術を示す場として、
自由に造形している様にも感じます。




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こういった端の納まりを丁寧に施すことも
雨仕舞になります。それだけでなく、普段
人目にすることのない細部まで、装飾する
ところが、職人のこだわりや心意気を
感じることができます。




『納まりがいい』とは、合理的で調和の
とれた取り合わせになることをいいます。
我が家のような
伝統建築をみると、随所に
丁寧な納まりがあり、大変勉強になります。









外壁の劣化を防ぐには、早めの修繕・塗装
が大切です。藻やカビが生えてきたり、
ひび割れ(クラック)が見られるようになる
と、家の耐久性や資産価値など大きな損失
につながりますので、ご心配な場合は、
お早めにご相談下さい。




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無料ですので、お気軽にご相談下さい。
  



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今日も最後まで読んで頂きありがとう
ございました。


 


【建築ワード説明】


のし瓦(のしがわら)
棟にふく、細長い瓦のこと。棟の左右から
積み上げ、継ぎ目から雨水が入らないよう
に、継ぎ目に土を塗り込み位置をずらして
3段~7段に積み上げる。段数が多いほど
下地への雨水の浸入が防げる。


雲型(くもがた)
たなびいた雲の形やそれを描いた模様。


唐草(からくさ)
つる草がからみ合うさまを図案化した模様


雛型(ひながた)
実物を小さくかたどって作ったもの。模型。