自宅長屋門(ながやもん)で、
建築設計事務所を営んでいる一級建築士
古民家建築の専門家 與那原浩です。




私が住んでいる妻の実家、太宰家の主屋
(おもや)
離れ(はなれ)をつないでいる
【渡り廊下】を紹介します。




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【東側から撮影】



渡り廊下といえば、どんなところに設置
されているのをイメージしますか?




学校・病院・旅館・行政の庁舎・
神社仏閣
・大企業の社屋・駅などの大規模建築を
イメージしますよね?




我が家では、居住用住宅でありながら、
渡り廊下が主屋と離れをつなぎ、中庭を
仕切る形で設置
されています。




おかげで、住宅の床面積がかなり広いもの
となっています。



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―犬伏武彦著 【民家ロマンチック街道―伊予路】引用―




watarirouka160430 (3)
【西側から撮影】
 


主屋は、江戸時代の末期、文化文政時代
(1804年~1830年
に建造されたものと
聞いています。




一方、離れは、昭和3年(1928年)頃に
増築されていますので、100年くらいは、
主屋と庭だけの造りでした。




建築デザインの観点で言えば、主屋だけ
より、離れと長屋門が増築されたことで、
配置的なプロポーションがよくなり、家の
持つ威厳や風格が備わってくるように
思えます。




全景写真で見れば、その効果は絶大です。
この地域を治めていた庄屋の威厳が感じ
られます。



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【池からの遠景写真】



主屋だけでは、屋敷としてのバランスが
悪いですが、離れがあることで、ぐっと
プロポーションがよくなりました!




周りの借景まで取り込んだ意匠(いしょう)
に、当時の棟梁のデザインセンスの高さ
に脱帽です。




渡り廊下で繋がっているため、雨の日
や風が強い日など天候に関係なく、主屋
と離れの行き来ができるようになったと
いうわけです。



20091014watariroka2



上記の画像は、主屋側から見たところです。
西側に広がる築山(つきやま)に行くため、
外からでも通れるように廊下の床を張って
ない部分があります。渡るときは足を踏み
外さないよう注意が必要です。




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着物が主流だった時代、足を大股に開くこと
ができないので、渡し板が備えつけられて
います。



20091014watariroka3



主屋・離れの両側には、開き戸があり、
中から施錠
できる様になっています。
きちんと防火・防犯
対策が取られて
いるのも感心します。




離れ側の開き戸を開けると、離れの広縁
に繋がっています。渡り廊下と一帯に
なって続いているように見え、とても
広がりを感じます。




また、雨が降った場合の対策として、
ガラス戸が備わっています。使われている
ガラスは、昭和初期の建築当時のままの
状態です。




その当時のガラスは、厚みの違いによる
ゆらぎが残っていて、時代を感じることが
でき、面白いです。割れてしまっては、もう
同じものを造ることができないので、大切
に残しておきたいと思います。




 



主屋と離れをつないでいる渡り廊下の存在
が、太宰家の魅力を幾重にも高めてくれて
いるそんな風に思えてなりません。 




築200年以上の古民家ですが、空家の期間
がなく住み続けているため、定期的な手入れ
や修繕が行なわれており、ひどい傷みも
少なく、維持管理できています。




雨戸を開け放して、通気するだけで、老朽化
にかなりの差が出てきます。




もし、修繕が必要な箇所がありましたら、
ご相談や見積もりは無料ですので、お気軽
にご相談下さい。
  



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【建築ワード説明】

主屋(おもや)
主人とその家族が住む、中心となる建物


離れ(はなれ)
一定の広さをもった敷地内で、主たる
建物である主屋(おもや)に対し、従たる
建物として、主屋から離れた場所に存在
する建物


文化文政時代(1804年~1830年
江戸幕府 11代将軍 徳川家斉が、将軍
職を家慶に譲りながらも大御所として、
幕府の実権を握っていた時期で、平穏
な期間が続いたため、町民文化が発達
した。


プロポーション
住宅において、建物の大きさや各部分
の間や全体のバランスを指す。建築に
おいて、非常に重要なこと。


意匠(いしょう)
意匠とはデザインのことだが、建築では
建物の間取りや外観の設計を意味する
ことが多い。建物や室内の見え方のこと。


築山 (つきやま)
庭園などに、石や土を盛ってつくった人工
的な小山のこと。




今日も最後まで読んで頂きありがとう
ございました。