一級建築士 與那原浩(よなはらひろし)の
妻 與那原慶子(よなはらけいこ)と申しま
す。主人が自宅で、建築設計事務所を営ん
でいます。
先日、古民家建築についての種類と特徴
について告知しましたが、今回はその2回目
古民家リノベーションです。
1回目 古民家再生
あなたは、リノベーションといえば、どんな
イメージを持たれていますか?
同じような用語のリフォームとの違いは、
お分かりでしょうか?
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【リノベーション】
既存建物を大規模改修することで、性能
や価値を高めることを言います。デザイン
性の質を高めたり、住環境を現代的な
スタイルにしたり、間取りや内外装を変更
したりします。
【リフォーム】
リフォームは、老朽化した建物を悪い状態
から改良することを言い、マンションや
アパートの場合は、退去後の原状回復を
意味します。
マイナスの状態から、機能を元の状態に
回復させることが多く、外装の塗り直しや
壁紙の張り替え、水周り設備の変更など
を言います。
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リノベーションとリフォームの違いがお分か
り頂けたでしょうか?似て非なるものと
言いますが、リノベーションとリフォームは
全く違う意味になります。
それを分かりやすく説明したいと思います。
11年前に古民家リノベーションした我が家
の事例をご紹介いたします。
【2005年自宅リノベーション竣工当時】
―犬伏武彦著 【民家ロマンチック街道―伊予路】引用―
主人の設計事務所独立を考えていた私達
は、その場所を愛媛県宇和島市の私の
実家と定め、2000年、東京から15年ぶり
に家族でUターン移住してきました。
北側部分の居住スペースは、主屋の下屋
部分にあたり、長い間使っていなかった為、
通気や採光が悪く、内装の新建材が湿気で
劣化しており、かなり劣悪な状態でした。
当時幼かった子ども達は、アレルギーが
ひどく、室内環境の影響でぜんそく発作を
頻発していました。
私たちは、すぐに改修を決意し、使い勝手
が悪いキッチン・トイレ・風呂などの水回り
設備も一緒にリノベーションすることにしま
した!
部屋を分断していた押し入れや廊下を全て
撤去、全ての部屋を通り部屋にし、引き戸で
仕切り、通風と採光を確保できる開口部を
配置しました。
また、圧迫されるほど低い天井を撤去し、
下屋部分の特徴である傾斜天井とし、構造
体をあらわしとしました。
【実例紹介】
キッチン
【リノベーション前のキッチン】
リビングと段差があり、コンクリート土間に
亀裂が入り、水漏れしていました。
安っぽい新建材の壁やタイルを全て撤去
しました。
【リノベーション後のキッチン】
壁・天井はスギ、床はヒノキの無垢板を
使用し、システムキッチンも新装、居間と
の段差もなくしました。天井は、出来る
だけ高さをとるように工夫しました。
【工事から11年経過した現在】
天井や床の木材がアメ色になり、動線も
いいので、大変使い勝手のいいキッチン
です。
リビング
【リノベーション前のリビング】
湿気で床板がベコベコしていました。
安っぽい新建材の天井・壁・床を全て撤去
しました。
【リノベーション後のリビング】
天井はスギ・床はヒノキの無垢板を使用。
壁は調湿機能のある珪藻土の塗壁としま
した。リビングとキッチンは、引き戸で
仕切っており、開けると、キッチンと一体に
なります。アルミサッシを撤去し、オーダー
の木製建具としました。
【工事から11年経過した現在】
リビングは家族が一番長く過ごすので、
開口は大きくし、明るくて、通気をよく
しています。断熱材も入れているので、
夏は涼しく、冬温かいので、家族がよく
集まる場所となりました。
【リノベーション後の開口部】
窓はできるだけ大きくし、北側部分の採光
をできるだけ取り入れるようにしました。
【リノベーション後の寝室】
2間つづきの居室を遮る押し入れを撤去し、
廊下部分を全て押し入れにしました。
風の流れが大変よく、夏でもエアコン不要
なくらい涼しく気持ちのいい空間となりま
した。
【リノベーション後の子ども部屋】
子ども部屋は奥の寝室への通り道になる
ため、ベッドなどを置く場所が取れません。
天井を撤去し、傾斜天井にした結果、
ロフト空間ができたので、子どものベッドと
しました。狭いですが、落ち着ける空間と
して、熟睡できると好評でした。
【工事から11年経過した現在】
現在も必要最低限の家具しか置いてない
ので、すっきりとした状態です。
大学進学している息子達の部屋も、家族
が使うことで、空き部屋にならず、通気が
できています。
現在の様子を動画でも紹介しています。
下屋部分の狭い空間をできるだけ、広く
明るく気持ちよく生活できるよう工夫して
います。
◆キッチン・リビング編
◆子ども部屋・寝室編
我が家の古民家リノベーション事例、いかが
でしたか?
外観からはイメージできない居住空間
だったと思います。
我が家の主屋と離れは、建築当時のまま
維持していますが、家族が生活する居住
スペースは、リノベーションすることで、
古民家のデメリットである、汚い・暗い・
寒い・動線が悪い・段差がある・設備が
古いなどの悩みを全て解消しています。
お風呂やキッチンを最新設備にすることで、
築200年超の古民家でも、古民家の長年
培われたいい雰囲気と、生活しやすい便利さ
など、両方のプラス面を確保できています!
古民家リノベーション、本当にお勧めです!
古民家でなくても、中古物件でも同じように
リノベーションすることができます!
古民家や中古物件を所有されている方で、
老朽化・耐震化でご心配な方は、お気軽に
ご相談下さい。
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します!
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今日も最後までお読み頂きありがとう
ございました!
【建築ワード説明】
下屋(げや)
主屋に差しかけて造った小屋根やその
下の部分。
新建材(しんけんざい)
新しく開発された工業製品としての建築
材料の総称。
傾斜天井(けいしゃてんじょう)
勾配のついた天井のこと。
構造体(こうぞうたい)
建築の骨組み部分。梁や小屋組み、梁
のこと。
あらわし
柱や梁などの構造材が見える状態で仕上
げる手法のこと。
無垢材(むくざい)
合板や集成材ではなく、本来の風合いを
持つ天然材のこと。室内の湿度を調節する
働きもある。
調湿機能(ちょうしつきのう)
室内の湿度をコントロールする機能のこと。
珪藻土(けいそうど)
藻類の一種である珪藻の殻の化石から
なる堆積物が粘土状になったもの。
ロフト
部屋の内部に中二階として設けた空間や
屋根裏部屋のことをいう。